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大河ドラマ「義経」

ストーリー

2005年8月28日放送
第三十四回「妹への密書」(演出:黛りんたろう)

元暦2年(1185年)3月。
義経(滝沢秀明)の率いる軍船は、屋島を出て平家方の集まる長門の国へと向かっていた。
船上での軍議で、景時(中尾彬)は味方に付くように書状を送った船所五郎正利(坂部文昭)の返事について義経に尋ねる。
義経は返事はまだだが、熊野水軍が味方してくれると答える。
景時は熊野水軍が信用できるかと問うが、義経弁慶(松平健)湛増(原田芳雄)の言葉に偽りはないと言い切る。

一方、平家勢は長門の国・彦島に陣を構え、そこには義経の妹の能子(後藤真希)もいた。
能子は筆が上手であったことから内裏の右筆を務め、廊の御方とも称されていた。
平家の軍議が行われるが、知盛(阿部寛)時忠(大橋吾郎)は、船戦では平家方が有利、この一戦に勝てば西国の武者達は平家に付き、源氏を東国に追い返せると意気込む。
時子(松坂慶子)は、明子(夏川結衣)輔子(戸田菜穂)と遊ぶ安徳帝(市川男寅)守貞親王(水谷大地)を見つめながら、知盛は必ず勝つと言っているが、負けた時のことを考えなければならない、 安徳帝を敵に渡すことなく平家の女達で護りきることが大事と、側にいる領子(かとうかずこ)に告げる。

京・義経邸。
留守を守る(石原さとみ)を訪れて来たうつぼ(上戸彩)
お徳から聞いた義経の様子を伝えに来たと言ううつぼに、屋島の平家を追い払ったと聞いたと答える
そこへ(尾野真千子)が現れ、うつぼはその場を去ろうとするが、うつぼを呼び止め2人に話を聞いてほしいと告げる。
義経のことを知っていると話すは、自分は望まれて来たわけではなくても義経の妻、武士の妻としての務めを果たすためにも義経の様子を自分にも報せてほしいと、うつぼに頭を下げる。
は自分がここにいてはと告げるが、はこれからはこのようにうつぼと言葉を交わしたい、そして共に義経の留守を守りたいと話し、うつぼは承諾して頭を下げる。
町へ戻ったうつぼは、烏丸(高橋耕次郎)に声をかけられる。
義経を慕い守る人はたくさんいる、自分でなくてもいいと淋しそうに話すうつぼに、自分はお徳(白石加代子)と共に戦を見に西国へ向かうが、うつぼはどうするかと尋ねる烏丸
うつぼは首を横に振り、立ち去って行く。

3月21日、義経の軍勢は周防に到着し、周防の船所五郎正利の水軍が義経に従うことになった。
正利を喜んで迎える義経主従。
三郎(南原清隆)次郎(うじきつよし)は熊野水軍が未だ来ないことを心配するが、弁慶は必ず来ると告げる。
忠信(海東健)は、熊野水軍が来れば正利の水軍と等と合わせて500を超えると話す。
正利義経那須与一(今井翼)の所在を尋ねる。
扇を射落とした与一の噂を聞いた正利は、扇の竿を待っていたのが廊の御方という平家の女官だと話す。
義経弁慶は、能子が扇の竿を持っていた女性と知り驚く。

お徳烏丸が周防に着いたのは、その日の午後であった。
義経主従と対面したお徳から、が穏やかに過ごしていると聞き安堵する義経
喜三太(伊藤淳史)からうつぼのことを尋ねられたお徳は、うつぼが刀鍛冶の弟子から思いを寄せられ、気持ちが揺れていると答える。
うろたえる喜三太を宥める三郎
義経と2人きりになったお徳は、今度の戦はこれまで自分が見てきた戦とは比べ物にならない戦になると思う、武家の鎧兜の組紐を商ってきた者として、皆がどのような戦をするか目に留めるために来たと話す。
平家がどのようになるのか、義経がどのような戦をするのか、この目に焼き付けたいと話すお徳は、「戦の後には何がありますのやろ」と義経に問う。

正利の案内で早鞆瀬戸の辺りの様子を見て来た次郎と、物見に出ていた三郎が戻ってくる。
義経から平家の様子を尋ねられた次郎は、行宮の近くの様子は見えなかったが、大将が競い立っていたと答える。
三郎は豊後の範頼(石原良純)の軍勢が、豊前に攻め上ったと報告する。
この一戦で源平の戦に決着をつけなければと告げる義経に、妹の能子のことを切り出す弁慶
能子の身を心配する弁慶達は、能子を戦の外に身を置くような手立てをと義経に進言する。
義経能子に当てた文を書き、喜三太に文を能子に届けるよう命じる。

平家では、建礼門院徳子(中越典子)時子を中心とし、知盛領子明子輔子が集まっていた。
知盛は矢合わせはもうすぐと告げ、領子らに三種の神器との側を離れないようにと命じる。
時子は、万が一己の身が敵の手に落ちた時は、武門の妻として辱めを受けないように覚悟を決めてもらいたいと告げる。
時子親王の側にいる者のみに聞いて欲しいと前置きし、万が一敵が勝った場合、自分達は死んでもの命だけは永らえさせる手立てを施すと話す。
知盛は、8歳のと7歳の親王は、背丈もほぼ同じで顔立ちも良く似ていると告げる。
それは親王を取り替えることかと尋ねる明子に、そうすれば守貞親王として命の無事を計れると答える時子
親王の養育をしていた明子は、それではあまりにも親王が労しいと訴える。
時子は、万が一戦に敗れて清盛(渡哲也)の血筋を絶やしては清盛に申し訳ができない、の血筋存続の為なら一門の命の100や200、惜しいことがあろうかと話す。
知盛明子を諌め、明子は泣き崩れる。
時子は、領子らに翌日より親王を入れ替えて接するようにと告げ、徳子明子に頭を下げる。

そのような密議が交わされたその夜、転寝をする能子の前に喜三太が現れ、義経からの文を手渡す。
文には、妹を思う義経の気持ちが綴られていた。
能子を救いたいと願う義経は、戦が始まったら目印として白い布を身に纏い、救いが来るのを待つように書いていた。
義経の文を読み終えた能子は、義経の文を胸に涙を流す。

知盛は平家方の水軍に、船への乗り込みを命じる。
知盛徳子、三種の神器を御座船でなく兵船に乗せ、御座船や他の船には兵を乗り込ませ、敵の目を欺いて討ち取る作戦と告げる。

廊下を歩いていた能子は偶然、領子が侍女に、が使う物を親王となっているの元に届けるよう命じているのを聞いてしまう。
能子が話を聞いたことを知った領子は、無理やり能子を小屋に幽閉してしまう。

この日、義経の軍勢に範頼が残した三浦水軍40艘が合流し、長門の国の千珠・満珠に到着した。
範頼軍が攻め込む為に平家を彦島から引き出さなければならない、平家が彦島を出た時が戦だと郎党に告げる義経
義経と彦島の平家とは、2里ばかりの隔たりで向かい合ったのであった。
源平最期の戦は、もうすぐそこに迫っていた。

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2005年9月4日放送
第三十五回「決戦・壇ノ浦」(演出:黛りんたろう)

元歴2年(1185年)3月23日、壇ノ浦の合戦前日。
雨が降る中、軍議を行う義経(滝沢秀明)らの元に、次郎(うじきつよし)が早鞆瀬戸の潮の流れについて報告に現れる。
潮は朝は彦島から東(源氏勢がいる方角)に向かって流れ、昼頃に一旦止まり、その後東から彦島(西)へと流れると説明する次郎
義経は豊前の範頼(石原良純)の様子を尋ねるが、次郎は雨で狼煙を上げていても解らないと答える。
弁慶(松平健)はこの雨では平家も動けないと話し、義経も今日は動かないことを告げる。
景時(中尾彬)義経に、自分に先陣を務めさせてほしいと願い出る。
しかし、義経は長門の海に慣れている三浦義澄(小倉馨)に先陣を任せると答える。
義澄範頼軍に従って来たが、自分は義経に屋島から従って来た、それなのに義澄に手柄を取られるのは心外と憤る景時
武士は戦にて手柄を立てるのが本望と言う景時に、義経はこの戦には範頼の軍勢もない、自分達は鎌倉の軍勢、戦に勝ち三種の神器を取り返し安徳帝(市川男寅)を迎えることが大事と告げるが、景時は怒ってその場を立ち去る。

彦島。
明子(夏川結衣)は、領子(かとうかずこ)によって炭小屋に幽閉されていた能子(後藤真希)を炭小屋から連れ出す。
時子(松坂慶子)の元に連れて来られた能子は、時子から船に乗らなくてもよいと告げられる。
能子は自分を皆と共にどこまでも連れて行って欲しいと願い出、時子能子の覚悟を知り承諾する。
合戦を翌日に控え、建礼門院徳子(中越典子)を始め平家の人々は船に移った。
徳子時子はここでと別れ、に扮した守貞親王(水谷大地)の船へ乗り込んだ。
知盛(阿部寛)は平家の兵達に、水軍を3つに分け、兵の乗った唐船に源氏勢を引き寄せて取り囲んで討ち取ると告げる。

翌日、合戦当日。
義経弁慶は、能子義経が文に書いたことに従ってくれるかを心配していた。
戦を見に来たお徳(白石加代子)烏丸(高橋耕次郎)は高台から海を眺め、両軍が動いたことに気付く。
時、元暦2年3月24日、壇ノ浦の戦いが始まった。
源氏は義経を総大将とし、平家は知盛を総大将として戦に挑む。
両軍から矢が放たれ、源平の兵が次々と海へと落ちていく。
海上で両軍の激しい戦いが繰り広げられる中、義経は唐船を見つけ船を近付けるが、待ち伏せしていた平家の兵の攻撃を受ける。
忠信(海東健)三郎(南原清隆)が矢を射って反撃し、弁慶は大岩を投げて攻撃する。
敵船に囲まれ、船に乗り込んできた平家勢の兵に応戦する義経主従。
船戦に長じた平家勢は、潮の流れを味方に付け源氏勢を圧倒する。
小船の水夫が敵の水夫を海に突き落としているのを見た義経は、忠信に船の漕ぎ手を射るよう命じる。
忠信喜三太(伊藤淳史)三郎が次々と漕ぎ手を射ているのを見た知盛は、戦の倣いを知らないと憤り、景時も戦の掟破りをした義経に驚く。
熊野水軍が平家を裏切り、平家勢に攻撃してきたことを知り激怒する知盛
昼近くになって、潮の流れが俄かに止まった。
備前の田ノ浦浜から海上での戦の様子を見ていた範頼は、敵の船を浜に寄せるなと命じる。

が乗る船を捜す義経主従。
義経親王に扮した領子明子能子が乗る船に目を止め、「あれじゃ」と告げる。
他の船と変わらないと言う弁慶に、他の船が護るように周りを固めているからと答える義経
平家勢の攻撃に応戦しながら船に近付く義経主従。
源氏勢の船に囲まれたと知った能子は意を決し、領子に敵を蹴散らせるまじないをしたいと告げ、領子は承諾する。
領子たちを伏せさせた能子は、袋から白い布を取り出す。
甲板へ出た能子は白い布を纏い、能子だと気付いた義経主従は他の船の兵に攻撃を止めさせる。
そこへが甲板に姿を現し、能子は白い布をに纏わせて護り、義経能子が護っているのがではないかと思う。

時子徳子に、平家一門の女は皆でが乗る船に移り、1つになりたいと申し出る。
徳子も頷き、時子達はの乗る船へと移る。
時子は、三種の神器の鏡を輔子(戸田菜穂)、勾玉を領子、宝剣を自分と分けて持つことを告げる。

昼を過ぎて、潮の流れは東から西へ逆向きに流れ始めた。
義経主従の乗る船に、知盛の乗る船が近付いてくる。
義経と対峙した知盛義経の船に乗り移り、義経知盛は戦う。
義経知盛の乗っていた船へと飛び移り、追ってきた知盛の太刀をかわし元の源氏の船へと飛び移る。
その姿を見た知盛は、幼い頃に重衡(細川茂樹)と共に義経と相撲をとっていた時を思い出し、「あの時が今日の運命の始まりであったのか」と呟く。

田ノ浦浜では、範頼勢が海より上がって来た平家勢を攻撃していた。
源氏勢を相手に奮戦していた資盛(小泉孝太郎)は、源氏勢の矢を受け自ら自害して果てる。
時子らの乗る船に現れた知盛は、時子らに平家の敗北を告げて覚悟を促す。
時子領子らに礼を言い、今日のことは屋島で日輪の扇が射ち落とされた時から兆しがあった、皆で元来平家のものであった西国の海に還ろうと話す。
親王は皆と共に行くのなら淋しくないと言い、は海には何があるのかと尋ねる。
時子は、波の下には清盛(渡哲也)が築いた夢の都がある、そこには重盛(勝村政信)維盛(賀集利樹)、そして清盛が待っていると答える。
清盛に早く会いたいというの言葉を聞いた時子は、はこのまま親王として船に残ってもらうと告げ、能子の側を離れないよう命じる。
源氏の大将の妹には悪い扱いはしないはずと言う時子に、平伏する能子
「皆様、お別れにござる」と言って立ち去ろうとする知盛に、「いいえ、夢の都にて是非にもお会い致しまする」と明子は告げる。

義経主従は、御座船の甲板に並ぶ時子達に気付く。
女達は手を合わせ、順に入水していく。
義経は郎党達に、船上にいる者達を留め、落ちた者達を引き上げるよう命じる。
明子徳子が海に飛び込み、鏡を持つ輔子が飛び込もうとした時、着物に矢が刺さり飛び込みを阻止する。
勾玉を抱えた領子が飛び込み、時子義経に向かって微笑み、宝剣と親王を抱きかかえ、「なりませぬ」と叫ぶ義経の目の前で入水する。
船には、を抱きしめる能子が残っていた。

宗盛(鶴見辰吾)は手を合わせて入水しようとするが、なかなか飛び込めず、家来に海に突き落とされる。
後を追って海に飛び込む清宗(渡邉邦門)
沈まず泳いでいる宗盛清宗を見つけた景季は、2人を引き上げるよう命じる。
時忠(大橋吾郎)は船の中で、1人悔し涙を流していた。
船の上で源氏勢と戦っていた知盛は、錨のついた縄を身体に巻き、「見るべきほどのことはすべて見た、今はこれまで」と呟き、錨を持って海へと飛び込む。

海には無数の亡骸や船、平家の赤旗が漂っていた。
その光景を高台から見ながら、手を合わせる烏丸と涙を流すお徳

戦い終わって、船上から海を見つめる弁慶三郎次郎忠信喜三太
弁慶達は、1人で海を見る義経に視線を移す。
水の流れが常ならないことと同様に、栄える者もいつかは滅ぶ。
平清盛が一代で築き上げた平家は、ついにこの日、西の海に潰えた。

(一部敬称略)
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