(1)常に1年間分の売上が集計されるため、月々の変動や季節変動等に影響されない純粋に売上の変動を見ることができます。
月々の売上は、色々な要因によって変動しているため、売上が上昇しているのか、下降しているのか、よくわかりません。
移動年計では、これらの変動を受けない形で、売上を読むことが出来るのです。
(2)常に1年間分の売上が集計されるため、毎月決算をしているのと同じです。
1ヶ月ずつ移動しながら、常に、1年間分の売上が集計されるので、毎月が決算月と同じようなデータであり、それを基に経営を判断することができます。
移動年計グラフから、二つのことを読み取ることができます。
一つは、「経済活動の惰性」から、移動年計グラフは、一度上がり始めると、数カ月またはそれ以上、上がり 続け、下がり始めると、数カ月またはそれ以上、下がり続けます。
従って、移動年計グラフは、上昇、横ばい、下降のゆるやかなカーブを描き、波のように上下しながら進んでいきます。
二つ目は、カーブの底から頂上までの右肩上がりの時期が、会社の景気の上昇期であり、カーブの頂上から底ま
での右肩下がりの時期が会社の景気の下降期です。
A カーブが頂上に近づいていくと、その上昇していく傾斜が、ゆるやかになり、ついには横ばいとなり、そし
て、ゆるやかに下降の傾斜となり、傾斜が急になっていきます。
B 逆に、 カーブの底に近づいていくと、下降の傾斜がゆるやかになり、横ばいになり、ついで、ゆるやかな
上昇傾斜から、急な傾斜になっていきます。
C 傾斜が転換する附近では、上昇の傾向または下降の傾斜の度合いが、ゆるやかになるのです。
傾斜の度合いを見ていると、会社の上昇・下降の転換点をつかむことができます。
傾斜が急な間は、その傾向が続くということです。
3ヶ月同じ傾向が続くと、方向性が見えてきます。